妊婦とアンピシリン(ビクシリン)

妊婦と薬

服用 

妊婦にアンピシリンを使うことは可能である。
安全性の高い薬剤の一つである。

代替薬としては、安全性が高い抗菌薬として

・セフェム系

・エリスロマシン(エストレートを除く)

がある。

参考

◇後ろ向き研究の報告では、妊娠第1三半期にアンピシリンを使用した妊婦409例のうち3例に先天奇形があった。

しかし、先天奇形の発現率が2倍に増加するようなことはないと言及している。

先天奇形が比較的多くみられた薬物には位置づけられていない。※1

◇アンピシリンの催奇形性について調べたハンガリーのケースコントロールがある。

健康な赤ちゃんを産んだ母親38,151例のうち2,632例は妊娠中にアンピシリンを使っていた。

一方で、先天性奇形をもった赤ちゃんを産んだ母親22,865例のうち1,643例でアンピシリンを使用していた。

OR:1.0, 95%CI:0.7-1.2

また、妊娠2-3ヵ月にアンピシリンを服用した例では、口蓋裂について有意差を示した。[OR:4.2, 95%CI:1.4-16.3]。

口蓋裂と妊娠2-3ヵ月の妊婦のアンピシリンの使用の関係には、過去の疫学調査や動物実験から、相反するところがあるので、さらなる調査が必要であると言及されている。

この調査で、妊娠中のアンピシリンの使用で催奇形性の危険性はないだろうとされている。※2

◇じほう 実践 妊娠と薬(第2版)の相談事例では、絶対過敏期にアンピシリンを服用した20例中19例に奇形はなかったと報告している。

1例は、右耳の外耳が小さく、外耳道の閉鎖であった。

相対過敏期の6例は健康な赤ちゃんを産んでいる。

これらの報告から、アンピシリンを妊婦に使用することは可能であると考える。
母体と胎児に対して安全性が高い薬剤の一つである。

文献

MeijiSeikaファルマ株式会社 添付文書、インタビューフォーム

Aselton P : First-trimester drug use and congenital disorder. Obstet Gynecol, 65(4) : 451-455, 1985

Czeizel AE : A population-based case-controlled teratologic study of oral erythromycin treatment during pregnancy. Reprod Toxicol, 13(6) : 531-536, 1999

じほう 実践 妊娠と薬(第2版)

多くの方に、安心と安全をお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

身近な幸せを大切に!

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