妊婦とアモキシシリン(サワシリン、パセトシン)

服用　可

アモキシシリンは胎児に対して、有害事象は少ないと考えられる。

また、第一選択薬の位置づけである。

その他に、安全性が高い抗菌薬として

・セフェム系

・エリスロマシン(エストレートを除く)

がある。

参考

◇デンマークの先天奇形調査がある。

妊娠中にアモキシシリンを服用した初産婦401例と、妊娠3か月前から妊娠終了まで服用していなかった妊婦10,237例を比較した報告である。

奇形発現は、対象群では416例(4.1%)、暴露群では16例(4.0%)、そのうち妊娠第1三半期暴露では147例中7例(4.8％)であった。

先天奇形発現リスクのオッズ比は1.16［95％CI：0.54-2.50］であった。

結論として奇形との関連性はなかった。※1

◇アモキシシリン、アンピシリンを妊娠第1三半期に服用した284例、いずれかの時期に服用した1060例で奇形のリスクは上昇しなかったと報告されている。※2

◇妊娠中にペニシリン系を使用した内服した7,171例の妊婦のうち先天奇形があったのは119例(推定128.9例)。

そのRRは0.92［95％CI：0.78-1.10］であった。そのうち使用時期は妊娠第1三半期に絞ると3,546例の妊婦のうち244例に先天奇形があった。

そのRRは1.07であった※3

◇じほう　実践 妊娠と薬(第2版)の相談事例の報告がある。

絶対過敏期にアモキシシリンを服用した80例中79例は健康な赤ちゃんが生まれている。

1例(併用薬6剤)は大血管転移・肺動脈閉鎖の異常があった。

相対過敏期の6例は、5例が健康な赤ちゃんを産んでいる。1例は心室中隔欠損症があった。

認められた異常に関連性はなく、自然奇形発生率を超えるものではないと考えられている。

アモキシシリンは妊婦に安全性が高い薬剤と考えて良い。

文献

LTLファーマ株式会社　サワシリンカプセル　添付文書、インタビューフォーム

Japsen P, et al : A population-based study of maternal use of amoxicillin and pregnancy outcome in Denmark. Br J Clin Pharmacol, 55(2) : 216-221, 2003 ※1

Colley DP, et al : Maternal illness, including fever and medication use as risk factors for neural tube defects. Teratology, 57(1) : 1-7, 1998※2

Heinonen OP, et al : Birth defects and Drugs in Pregnancy, Publishing Sciences Group, p297,435, 1977※3

じほう　実践 妊娠と薬(第2版)