参考
◇1985~2000年の間にテネシー州の医療機関で生まれた33,456例の赤ちゃんについてレトロスペクティブコホート研究を行ったところ、アジスロマイシンを服用した1,620例の母親の赤ちゃんの奇形のRR1.00で95%CIは0.72-1.39とリスクは上昇しなかったと報告されている。※1
◇妊娠中の性器クラミジア感染症の治療において、アジスロマイシンの有効性と安全性をエリスロマシン、アモキシシリンと比較したレトロスペクティブコホート研究が報告されている。妊娠中本剤を使用した妊婦は221例、本剤を単剤で使用した母親は178例、その出生児は179例確認されている。奇形発生、早産の割合、児の出生体重、5分のApgar score に差はなく、本剤は妊婦の性器クラミジア感染症の治療法において有効に使用可能で、母体や胎児に対して安全に使用できると報告されている※2
◇カナダの催奇形情報サービスの報告では、アジスロマイシン服用群、同様の疾患で催奇形性のない抗生物質を服用した群、催奇形性のない薬剤服用群、それぞれ123例で構成される3群を比較している。アジスロマイシン服用群では88例(71.6%)が妊娠第1三半期であった。大奇形の発生頻度は、本剤服用群3.4%、催奇形性のない抗生物質服用群2.3%催奇形性のない薬剤服用群は3.4%で差異はなかった。妊娠期間、胎児窮迫、早産の割合、平均出生時体重にも差は認められなかった。妊娠中の本剤の暴露は大奇形発生頻度を上昇させないと結論している。※3
◇じほう 実践 妊娠と薬(第2版)の相談事例の報告がある。
絶対過敏期にアジスロマイシンを使用30例、相対過敏期2例はいずれも奇形などない赤ちゃんを産んでいる。
文献
・ファイザー株式会社 ジスロマック 添付文書、インタビューフォーム
・※1 Cooper WO : Antibiotics potentially used in response to bioterrorism and major congenital malformations. Pharmacoepidemiol Drug Saf, 15 (1) : S6-S7, 2006
・※2 Rahangdale L, et al : An observational cohort study of Chlamydia trachomatis Treatment in pregnancy. Sex Transm Dis, 33(2) : 106-110, 2006
・※3 Sarkar M, et al : Pregnancy outcome following gestational exposure to azithoromycin, BMC Pregnancy Childbirth, 6(18) : 10.1186/1471-2393-6-18, 2006
・じほう 実践 妊娠と薬(第2版) p896-899
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