高血圧は、日本人の約3人に1人が抱える生活習慣病のひとつです。食生活の改善や運動習慣の見直しが基本とされるなかで、最近注目されているのが「GABA(γ-アミノ酪酸)」という成分です。GABAは脳内で神経伝達物質として働くだけでなく、血圧を下げる作用があることが明らかになりつつあります。この記事では、GABAの血圧降下作用について、最新の研究データや機能性表示食品としての根拠も交えて詳しく解説します。
GABA(ギャバ)は高血圧に効果がある?最新研究と機能性表示食品の実力を解説
GABA(ギャバ)とは?
GABA(γ-アミノ酪酸)は、自然界に広く存在するアミノ酸の一種で、体内では主に中枢神経系に分布し、抑制性神経伝達物質として働きます。興奮を鎮める作用を持ち、リラックス効果や睡眠の質向上にも関与しているといわれています。
GABAと高血圧の関係
GABAは、中枢神経系の興奮を抑えることで交感神経の働きを緩和し、血管の収縮を防ぐと考えられています。これにより、血圧の上昇を抑制する効果が期待されています。
実際に、GABAを含む食品の摂取によって血圧が有意に低下したとする研究も複数報告されています。
ヒト臨床試験のデータ
機能性表示食品に関する制度では、GABAには「血圧が高めの方の血圧を下げる」機能があるとされています。たとえば、GABAを12.3mg含む乳飲料を8週間摂取した結果、収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)の両方が統計的に有意に低下したという報告があります(Koga et al., 2012)。
機能性表示食品としてのGABA
GABAは、多くの機能性表示食品に配合されています。主にお茶、ヨーグルト、チョコレート、サプリメントなどに使われており、表示されている機能は「血圧が高めの方に適した機能」や「ストレスの緩和」などです。
具体的な表示例
- 「本品にはGABAが含まれます。GABAには高めの血圧を低下させる機能があることが報告されています。」
- 「GABAには一時的な精神的ストレスを緩和する機能があることが報告されています。」
GABA摂取の安全性と注意点
GABAは通常の食品から摂取する範囲では安全性が高いとされています。日本では、機能性表示食品として届け出られている商品が多数あり、安全性評価が行われた上で販売されています。
ただし、降圧剤を服用中の方がGABAを含む食品を摂取すると、血圧が過度に下がる可能性もあるため、医師や薬剤師に相談することが望ましいです。
GABAが豊富な食品
GABAは発酵食品や野菜、果物に多く含まれています。以下はGABAが豊富とされる食品例です。
- 発芽玄米
- 納豆
- トマト
- じゃがいも
- キムチや漬物などの発酵食品
これらの食品を日常的に取り入れることで、自然にGABAの摂取量を増やすことができます。
GABAと他の生活習慣改善との併用が大切
GABAの摂取による血圧低下効果は、あくまで軽度〜中等度の高血圧に対する補助的な手段と捉えるべきです。以下のような生活習慣の改善と併用することが、血圧管理には不可欠です。
- 減塩(1日6g未満が推奨)
- 適度な運動(ウォーキングや筋トレなど)
- 禁煙
- 適正体重の維持
- ストレス管理
GABAの摂取方法と継続のポイント
GABAを効果的に摂取するためには、機能性表示食品やGABAを多く含む食品を毎日継続して摂ることが重要です。GABAは即効性というよりも、継続摂取によって徐々に血圧に影響を与えるとされています。
また、GABAの摂取目安量としては、1日あたり12.3mg〜20mg程度の摂取が研究で用いられています。
まとめ
GABA(γ-アミノ酪酸)は、血圧が高めの方の血圧を下げる機能があることがヒト試験で示されています。発芽玄米や発酵食品など、GABAを多く含む食品を日常的に取り入れることで、無理なく血圧管理を行うことができます。とはいえ、GABAはあくまで補助的な成分。塩分の摂取制限や運動、睡眠といった生活習慣の改善と併せて取り入れることが、高血圧の予防・改善には重要です。機能性表示食品を選ぶ際は、表示内容をしっかりと確認し、医師や薬剤師に相談しながら適切に利用しましょう。
参考文献・引用
- 独立行政法人 国立健康・栄養研究所「健康食品の素材情報データベース:GABA」
- Koga, Y., Otsuka, Y., & Hagiwara, H. (2012). Effect of GABA-containing beverage on blood pressure in mildly hypertensive subjects. Journal of Nutritional Food, 15(1), 25-32.
- 消費者庁「機能性表示食品データベース」

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