血液検査で「中性脂肪が高い」と言われたことはありませんか?放置すると動脈硬化や心疾患のリスクが高まるため、早めの対策が重要です。注目されているのが、青魚などに多く含まれる「DHA」や「EPA」といったオメガ3脂肪酸。これらは中性脂肪を下げる働きがあるといわれています。この記事では、DHA・EPAと血中中性脂肪の関係について、科学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。
DHA・EPAは中性脂肪を下げる?魚の油と血中中性脂肪の関係を解説
DHA・EPAとは?
DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、いずれも「n-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)」に分類される栄養素です。主にイワシ、サバ、サンマなどの青魚に多く含まれており、体内で合成することができないため、食事から摂取する必要があります。
中性脂肪とは?
中性脂肪(トリグリセリド)は、食事から摂取した余分なエネルギーが体内に蓄えられる形で、エネルギー源として重要な役割を果たします。ただし、過剰になると血管に悪影響を与え、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高まります。
DHA・EPAが中性脂肪を下げるメカニズム
多くの研究によって、DHAやEPAには血中中性脂肪を低下させる作用があることが示されています。主なメカニズムは以下の通りです。
- 肝臓での中性脂肪合成を抑制:EPAは肝臓での脂肪酸合成酵素の活性を抑えることで、中性脂肪の合成を減らす働きがあります。
- 脂肪の分解促進:DHA・EPAは脂質代謝に関わる遺伝子の働きを調整し、脂肪の分解を促進します。
- 血液中のトリグリセリド運搬量の減少:肝臓から分泌されるVLDL(超低比重リポタンパク)の量が減ることで、血中中性脂肪濃度が低下します。
実際の研究データ
国内外の研究で、DHA・EPAの中性脂肪低下効果が報告されています。例えば、1日あたりEPAおよびDHAを合計2〜4g摂取した場合、平均で約20〜30%の中性脂肪低下がみられたという報告もあります。
日本人を対象とした研究でも、DHA・EPAのサプリメントを一定期間摂取したグループで有意に中性脂肪が低下したことが確認されています。
どのくらい摂取すればいい?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、n-3系脂肪酸(DHA・EPAを含む)の目安量を以下のように定めています。
- 成人男性:2.0〜2.4g/日
- 成人女性:1.6〜2.0g/日
イワシやサバの缶詰1缶で、およそ1.5〜2.5g程度のDHA・EPAが含まれているため、魚を1日1食取り入れることで目安を満たすことができます。
サプリメントの活用について
食事だけで必要量を摂るのが難しい場合、サプリメントも有効な選択肢です。ただし、過剰摂取には注意が必要です。特に抗凝固薬(ワルファリンなど)を服用している人は、出血傾向が強まるリスクがあるため、医師と相談の上で使用しましょう。
生活習慣の改善とあわせて
DHA・EPAの摂取は、中性脂肪対策の一つにすぎません。以下のような生活習慣の見直しも重要です。
- 糖質やアルコールの過剰摂取を控える
- 適度な運動を取り入れる(週150分以上の有酸素運動)
- 十分な睡眠とストレス管理
DHA・EPAを取り入れることで、生活習慣の改善と相乗効果が期待できます。
まとめ
DHA・EPAは青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸で、血中中性脂肪を下げる働きがあります。肝臓での脂肪合成を抑えたり、脂質の分解を促進したりすることで、中性脂肪値の改善に貢献します。1日1食、青魚を取り入れることで十分な量を摂取可能ですが、必要に応じてサプリメントも活用できます。中性脂肪が気になる方は、ぜひDHA・EPAを意識した食生活を始めてみてください。
参考文献・引用
- 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版)
- 農林水産省. 「魚の健康効果」
- Yokoyama M. et al. Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolemic patients. *Lancet*. 2007;369(9567):1090–1098.
- 田中平三. DHA・EPAの栄養生理機能と健康効果. *油化学*. 2014;63(4):117-124.

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