健康志向の高まりとともに、「トクホ(特定保健用食品)」という表示を目にする機会が増えています。トクホは国が安全性と有効性を審査し、特定の保健の目的が期待できると認めた食品です。本記事では、トクホの定義や制度の仕組み、表示できる効果、機能性表示食品との違いについて、公的機関の情報をもとに正確かつ体系的に解説します。
トクホ(特定保健用食品)とは?制度の仕組み・効果・機能性表示食品との違いをわかりやすく解説
トクホ(特定保健用食品)とは
トクホ(特定保健用食品)とは、「健康の維持・増進に役立つ特定の保健の目的が期待できる食品」として、 国(消費者庁)の審査を受け、表示が許可された食品を指します。 制度は1991年(平成3年)に厚生省(当時)により開始されました。
トクホは食品であり、医薬品ではありませんが、 「おなかの調子を整える」「血糖値の上昇を穏やかにする」など、 具体的な保健用途を表示できる点が特徴です。
トクホの法的位置づけ
トクホは「保健機能食品制度」の一部として、 食品表示法に基づき位置づけられています。
- 特定保健用食品(トクホ)
- 栄養機能食品
- 機能性表示食品
このうちトクホは、国による個別審査・許可制が採用されている点が大きな特徴です。
トクホで認められる表示内容
トクホでは、科学的根拠に基づき、以下のような保健用途表示が認められています。
- おなかの調子を整える
- コレステロールが高めの方に適する
- 血圧が高めの方に適する
- 食後の血糖値の上昇を穏やかにする
- 虫歯の原因になりにくい
これらの表現は、消費者庁が審査した範囲内でのみ使用できます。
トクホの審査内容
トクホの許可を得るためには、以下の点について科学的評価が行われます。
① 有効性の評価
ヒト試験を中心とした科学的根拠により、 表示される保健用途が妥当であるかが確認されます。
② 安全性の評価
長期摂取や過剰摂取を含めた安全性データの提出が求められます。
③ 品質・成分の安定性
有効成分の含有量が製品ごとに安定しているかも審査対象です。
トクホに用いられる主な関与成分
トクホには、目的に応じてさまざまな関与成分が用いられています。
- 難消化性デキストリン
- 乳酸菌・ビフィズス菌
- 大麦β-グルカン
- 茶カテキン
- オリゴ糖
これらの成分は、ヒト試験により一定の効果が確認されたものに限られます。
トクホと機能性表示食品の違い
| 項目 | トクホ | 機能性表示食品 |
|---|---|---|
| 審査 | 国が個別審査 | 事業者の届出制 |
| 科学的根拠 | 国が評価 | 事業者が責任を負う |
| 表示 | 許可された表現のみ | 一定範囲で自由 |
トクホは信頼性が高い一方、開発・審査に時間とコストがかかる点が特徴です。
トクホの限界と注意点
トクホは医薬品ではないため、以下の点に注意が必要です。
- 疾病の治療や予防を目的としたものではない
- 効果には個人差がある
- 摂取すれば必ず健康になるわけではない
あくまで「健康維持を補助する食品」として位置づける必要があります。
トクホを上手に活用するために
トクホは、バランスの取れた食事や運動習慣を前提に、 特定の健康課題をサポートする目的で活用することが重要です。
まとめ
トクホ(特定保健用食品)は、国が有効性と安全性を審査した信頼性の高い食品制度です。具体的な保健用途を表示できる点が特徴ですが、医薬品ではなく、生活習慣改善を補助する位置づけにとどまります。制度の特徴と限界を正しく理解し、目的に応じて活用することが重要です。
参考文献
消費者庁「特定保健用食品について」
消費者庁「保健機能食品制度の概要」
厚生労働省「健康食品に関する情報」
食品表示法(平成25年法律第70号)

健康は資産、幸せは健康から!!


コメント