30代共働き世帯にとって、老後資金の準備(iDeCo) と 子どもの教育費 は同時進行での大きな課題です。
文部科学省の調査では、幼稚園〜大学までにかかる教育費は総額約1,000〜2,000万円(進路により差)とされており、計画的な準備が欠かせません。一方で、老後資金は公的年金だけでは不足が見込まれ、iDeCoによる積立投資の活用が注目されています。
本記事では、iDeCoを賢く利用しながら教育費を節約する方法 を、ファイナンシャルプランナーの視点で具体的に解説します。
30代共働き世帯のためのiDeCo活用術|教育費を賢く節約するための具体策を徹底解説
30代共働き世帯に求められる「二重の資金準備」
30代共働き世帯が直面する代表的な資金課題は「教育費」と「老後資金」の2つです。 文部科学省『令和3年度 子供の学習費調査』によると、進路別の教育費総額は以下の通りです。
- 公立幼稚園〜大学(国公立):約1,000万円
- 私立幼稚園〜大学(私立文系):約1,800万円
- 私立幼稚園〜大学(私立理系):約2,200万円
一方、老後資金については、金融庁『資産形成に関する報告書』(2019)で、夫婦の場合「年金だけでは毎月平均約5万円不足」と試算されています。
iDeCoが30代共働きに最適な理由
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を効率的に増やすための制度で、次の3つの税制メリットがあります。
- 積立額が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受取時の税制優遇(退職所得控除・公的年金控除)
共働き世帯は夫婦ともに加入できるため、節税メリットが2人分適用され、長期的にみると大きな差が生まれます。
教育費の節約は「固定費」と「制度活用」が鍵
日本政策金融公庫『教育費負担の実態調査(2023)』によると、教育費の準備方法において最も負担を実感するのが「塾・習い事費」「大学入学費用」であると報告されています。
教育費を抑えつつ質を落とさないための方法は以下です。
1. 塾・習い事は費用対効果の見直し
月15,000円の習い事を2つ続けると、年間36万円。3年間で108万円になります。定期的な棚卸しが必要です。
2. 給付型奨学金の活用
日本学生支援機構(JASSO)が提供する「給付型奨学金」は返済不要で、家計基準や成績基準を満たせば利用可能です。
3. 高校授業料の実質無償化制度
2020年から導入され、世帯年収590万円未満の場合、公立・私立高校の授業料が実質無償化になります。
iDeCoと教育費のバランスはどう取る?
教育費と老後資金は「どちらも必要だが、優先順位がぶつかる」ことが多いため、次の考え方が重要です。
1. 教育費は期限が決まっている
教育費は、
- 入学のタイミング
- 大学進学の18歳
など、期限が明確。一方、老後資金は長期で調整可能です。
2. iDeCoは60歳まで引き出せない
教育費には使えない点を理解し、無理のない掛金設定が必要です。
3. 理想は「つみたてNISA+iDeCo」併用
教育費 → つみたてNISA(途中引き出し可)
老後資金 → iDeCo(非課税&所得控除)
この分離管理により、「教育費が必要になったのに老後資金が取り崩せない」という事態を避けられます。
30代共働き家庭の最適シミュレーション例
| 項目 | 夫 | 妻 |
|---|---|---|
| iDeCo掛金 | 月12,000円 | 月12,000円 |
| 所得控除効果 | 年間約28,800円 | 年間約28,800円 |
| 運用期間 | 30年 | 30年 |
| 運用利回り(年3%仮定) | 約690万円 | 約690万円 |
夫婦合計で約1,380万円の老後資金が自動で形成できます。
教育費の準備は「早く」「コツコツ」が最適
日本政策金融公庫の調査では、教育費の貯蓄開始時期は「未就学児から」が最も多く、平均準備額は約200万円。早期開始のメリットは大きいです。
教育費へは、以下のように積立する方法が現実的です。
- つみたてNISA:月20,000円(年240,000円)
- 学資保険:月10,000円
これにより、大学入学時までに総額約350〜400万円が目安として確保できます。
家計全体で最適化するためのチェックポイント
1. 住宅ローン返済率は手取りの25%以内
2. 保険の入りすぎに注意(共働きはリスク分散できる)
3. 家計簿アプリ活用で見える化
30代共働き世帯は収入が安定する一方で、支出も増加する時期です。制度を賢く利用しながら教育費と老後資金をバランスよく準備することが重要です。
まとめ
30代共働き世帯は「教育費」と「老後資金」の両方を同時に準備する必要があり、計画性が求められます。
iDeCoは強力な節税効果を持ち、老後資金づくりに最適な制度ですが、教育費には使えないため、つみたてNISAなどと併用して資金用途を明確に分けることが賢い方法です。
教育費は制度を上手に活用し、固定費の見直しで無理なく捻出できます。
夫婦で役割を共有し、早期から計画的に準備することで「教育費に追われる家計」から「将来に安心できる家計」へと変化します。
参考文献
文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査」
日本政策金融公庫「令和5年度 教育費負担の実態調査」
金融庁「資産形成に関する報告書」(2019)
国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」
厚生労働省「確定拠出年金制度について」

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