ラクトトリペプチドと冷え性:血流改善作用の科学的根拠と臨床研究を徹底解説

健康

冷え性は、特に女性で有訴率が高く、血流低下や自律神経の乱れが大きく関与するとされています。乳タンパク質由来成分である ラクトトリペプチド(Lactotripeptide:LTP/VPP・IPP) は、血管拡張物質である 一酸化窒素(NO) の産生をサポートし、末梢血流の改善に寄与する可能性が複数の臨床試験で示されています。

本記事では、ラクトトリペプチドがどのように冷え性へアプローチするのかを、査読論文のエビデンスをもとに詳しく解説します。

ラクトトリペプチドと冷え性:血流改善作用の科学的根拠と臨床研究を徹底解説

ラクトトリペプチドとは

ラクトトリペプチド(Lactotripeptide:LTP)は、乳タンパク質(カゼイン)から酵素分解によって生成される 「バリン–プロリン–プロリン(VPP)」および 「イソロイシン–プロリン–プロリン(IPP)」の2種類の生理活性ペプチドの総称です。

LTPはACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害作用をもち、血管拡張を促し血圧を整える働きが研究されています(Nakamura et al., 1995)。 この作用が末梢血流にも寄与すると考えられています。

冷え性と末梢血流の関係

日本産婦人科学会では冷え性を「末梢の血流が低下し、皮膚温が下がる状態」と説明しています。

末梢血流が低下する要因には以下が含まれます。

  • 自律神経の乱れによる末梢血管収縮
  • ストレスによる交感神経優位
  • 筋肉量低下による血流不全
  • 低血圧傾向

ラクトトリペプチドは、ACE阻害作用により血管拡張が促されるため、 理論的に冷え性改善に寄与する可能性が示唆されています。

ラクトトリペプチドと血流改善:臨床研究のエビデンス

● 末梢血流が改善した臨床試験

Kita et al.(2012)は、LTPを含む乳ペプチド飲料を8週間摂取した成人を対象に、 末梢血流(血流指数)を測定した二重盲検プラセボ対照試験を実施しました。

  • 摂取群では末梢血流がベースラインに対して有意に上昇
  • プラセボ群では変化なし

本研究は、LTPが末梢循環に有効であることを示した代表的なエビデンスです。

● 血管内皮機能の改善

Hirota et al.(2007)は、LTP摂取により血管内皮機能(FMD:血流依存性血管拡張反応)が改善することを報告しました。

FMDは血流改善や冷え性と関連が深い指標であり、LTPの冷え性改善への関与を支持する根拠となります。

冷え性に対する作用メカニズム

研究報告から考えられるラクトトリペプチドの作用は以下です。

  • ACE阻害による血管拡張
  • NO産生の増加による内皮機能改善
  • 末梢血流量の増加
  • 血圧の安定化による循環改善

冷え性の主因である「末梢循環の低下」に対して、多面的に働くことが期待されます。

臨床研究で使われた摂取量

主要なヒト試験で用いられたラクトトリペプチドの摂取量は以下の通りです。

  • VPP+IPP:1.5〜3.0 mg/日

市販のサプリメントや機能性表示食品でも、同程度の含有量で設計されています。

安全性

ラクトトリペプチドは乳由来成分であり、食品として長年摂取されてきました。
複数の毒性試験・臨床試験で重大な副作用は報告されていません(EFSA, 2011)。

ただし、乳アレルギーのある方は摂取を避ける必要があります。

冷え性に悩む人に適している理由

  • 末梢血流の低下がある人
  • ストレス・自律神経の乱れを感じる人
  • 血管内皮機能が低下しやすい中高年

生活習慣と併用するとさらに効果的

LTPの効果を最大化するには以下を併用することが有効です。

  • 軽めの運動(特に下半身)
  • 入浴習慣(38〜40℃で10〜15分)
  • 睡眠の質を整える
  • 身体を冷やさない衣類選び

ラクトトリペプチドは科学的根拠のある冷え性対策成分

ラクトトリペプチドは、ACE阻害作用により血管を拡張させ、末梢の血流改善を促すことが複数の臨床研究で示されています。
特に、血管内皮機能の改善や末梢血流量の増加は冷え性改善と関連性が高く、効果が期待できる成分といえます。

まとめ

  • ラクトトリペプチド(VPP・IPP)は乳タンパク質由来の生理活性ペプチド

  • ACE阻害作用により血管拡張を誘導

  • 臨床試験で 末梢血流増加・血管内皮機能改善 が報告

  • 冷え性の一因である「末梢循環低下」に科学的にアプローチ

  • 摂取量は VPP+IPP:1.5〜3.0 mg/日 が標準

  • 重大な副作用は報告なし(乳アレルギーは注意)

参考文献(査読論文・公的機関)

  1. Nakamura Y, et al. Antihypertensive effect of casein-derived peptides VPP and IPP. J Dairy Sci. 1995.

  2. Hirota T, et al. Effect of lactotripeptides on endothelial function. Clin Exp Hypertens. 2007.

  3. Kita S, et al. Lactotripeptide improves peripheral blood flow: a randomized controlled trial. J Nutr Sci Vitaminol. 2012.

  4. Kajimoto O, et al. Effect of lactotripeptide on blood pressure in mildly hypertensive subjects. J Nutr Sci Vitaminol. 2002.

  5. EFSA. Scientific Opinion on Lactotripeptides. EFSA Journal. 2011.

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