「最近、風邪をひきやすくなった」「疲れが抜けにくい」「免疫力を高めたい」――そんな悩みを抱える方の間で注目されているのが、乳酸菌の一種である Lactococcus lactis strain Plasma(通称 “プラズマ乳酸菌”)です。研究によれば、この菌株は免疫系の「司令塔」である Plasmacytoid Dendritic Cells(pDC)を活性化し、さらに自然免疫の中核を担う Natural Killer Cells(NK細胞)などの働きを高める可能性が示唆されています。この記事では、プラズマ乳酸菌が免疫力をどうサポートするのか、最新臨床データとともにわかりやすく解説します。
プラズマ乳酸菌(LC-Plasma)で免疫力アップ?NK細胞・pDC活性化の最新エビデンスを解説
プラズマ乳酸菌とは何か?
プラズマ乳酸菌は、乳酸球菌属の一菌株で、正式には Lactococcus lactis strain Plasma (JCM 5805) 等として研究されているものです。 この菌株は「加熱死菌(ヒートキルド)」の形で食品に使われることが多く、生きた菌ではなくても免疫に対して作用することが報告されています。
発見・研究は日本の企業・研究機関が中心で、免疫における司令塔である pDC を活性化する乳酸菌として2010年ごろから注目されてきました。
免疫システムの基礎とプラズマ乳酸菌の関わり
免疫には大きく「自然免疫」と「獲得免疫」があります。自然免疫は体内に侵入したウイルスや細菌を早期に排除する仕組みであり、その中で pDC や NK細胞が重要な役割を担っています。
pDC は感染時に大量のタイプ Iインターフェロン(IFN-α/β)を産生することで、ウイルスの増殖を抑え、免疫反応を促進します。プラズマ乳酸菌はこの pDC を活性化することで、自然免疫の初動を強化すると考えられています。
プラズマ乳酸菌が示す免疫系への効果
1. pDC活性化のエビデンス
ある基礎研究では、プラズマ乳酸菌をpDCに作用させたところ、他の乳酸菌株と比べて IFN-α の産生が明確に高かったことが報告されています。特に、pDC が菌を貪食(ファゴサイトーシス)して内部に取り込むことで、乳酸菌由来の分子構造が免疫刺激をもたらしていると説明されています。
2. 臨床試験における風邪・疲労軽減効果
ヒトを対象にした複数のランダム化比較試験では、プラズマ乳酸菌を含む食品を摂取したグループで「発熱日数」や「疲労を感じた日数」が有意に減少したという報告があります。 また、メタ解析でも、プラズマ乳酸菌群は風邪様症状(咳、発熱)の日数が対照群よりも平均して約30〜40%減少したという結果が示されています。
3. 高負荷運動・スポーツ選手における疲労抑制
大学運動部学生を対象とした研究では、13日間の高負荷トレーニング中にプラズマ乳酸菌を摂取した群で、pDCの活性マーカー(CD86)が有意に高く、疲労感を示す指標が低かったという報告もあります。このことから、日常的な免疫強化だけでなく、運動による免疫抑制(オーバートレーニング状態)への対策としても期待されています。
プラズマ乳酸菌を含む食品・摂取のポイント
プラズマ乳酸菌は、生きて腸に届く菌ではなく「加熱死菌」を用いた製品が多く、市販の飲料やタブレット、ヨーグルトなどに配合されています。
摂取のポイントとしては以下が挙げられます:
- 毎日継続して摂ることが効果的であるという報告が多い
- 菌株数(例:数十〜百億個相当)の表示のある製品を選ぶ
- 免疫ケアは他の生活習慣(睡眠・栄養・運動)と併せて実践することが重要
安全性と注意点
これまでの研究では、プラズマ乳酸菌の長期摂取・大量摂取においても重篤な副作用報告は少なく、安全性は比較的高いとされています。ただし、免疫疾患をお持ちの方、免疫抑制療法を受けている方、あるいは重度のアレルギー体質の方については、サプリ・機能性食品摂取前に医師への相談が推奨されます。
免疫力アップのために生活でできること
プラズマ乳酸菌を取り入れるだけで済むわけではなく、以下のような生活習慣も併せて行うことが免疫強化には欠かせません:
- 十分な睡眠(7時間以上を目安に)
- 適度な運動(週2〜3回、有酸素+筋トレ)
- バランスのよい食事:発酵食品・野菜・良質なたんぱく質を意識
- ストレス管理:自律神経バランスを整える深呼吸・瞑想など
- 適度な日光浴:ビタミンDも免疫に関与しています
今後の展望と研究課題
プラズマ乳酸菌の研究は進展していますが、以下のような課題も残っています:
- 効果が有意に示される対象は主に健康な成人で、免疫低下者・高齢者・子どもでのデータは限られている
- 菌株数・摂取期間・製品形態(飲料/タブレット)による違いの最適化が必要
- 免疫機能以外(腸内フローラ・炎症マーカーなど)への影響が今後明らかになる可能性
まとめ
プラズマ乳酸菌(LC-Plasma)は、pDCやNK細胞といった自然免疫の司令塔を活性化する乳酸菌として、多くの研究で免疫サポート効果が示されています。風邪様症状の軽減・疲労抑制という臨床データもあり、日常的な免疫ケアの一手となり得る成分です。ただし、菌株数や摂取期間、対象者などによる効果の違いは今後の課題でもあります。
免疫力を高めたいと考えるなら、この乳酸菌を含む食品/サプリの継続的な摂取とともに、睡眠・栄養・運動といった基本的生活習慣の見直しも併せて実践することが大切です。
参考文献・引用
Fujimura S., et al. “Lactococcus lactis strain Plasma uniquely induces IFN-α from plasmacytoid dendritic cells.” Microorganisms, 2025.
Komano Y., et al. “Effects of ingesting food containing heat-killed Lactococcus lactis strain Plasma on fatigue and immune-related indices after high training load.” Nutrients, 2023;15:1754.
Yamamoto K., et al. “Efficacy of Lactococcus lactis strain Plasma in patients with mild coronavirus disease (COVID-19).” Int J Infect Dis. 2025.
Meta-analysis: “Lactococcus lactis strain Plasma activates pDCs and reduces cold-like symptoms.” Front Immunol. 2025.
Kirin Holdings Co., Ltd. “Clinical trial confirms that LC-Plasma reduces fever and fatigue.” Nov 4 2025.

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