糖尿病は血糖値が慢性的に高くなることで、さまざまな合併症を引き起こす病気です。その中でも特に注意したいのが「糖尿病網膜症」。初期には自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行し、最悪の場合は失明に至ることもあります。本記事では、糖尿病網膜症の原因、症状、治療法、そして日常生活でできる予防法についてわかりやすく解説します。目の健康を守るためにも、ぜひ最後までご覧ください。
糖尿病網膜症とは?症状・原因・予防法をわかりやすく解説|失明を防ぐために知っておきたいこと
糖尿病網膜症とは?
糖尿病網膜症は、糖尿病によって目の奥にある「網膜」の血管が障害を受けることで発症する病気です。網膜は、光を感知して映像に変換する非常に重要な部分で、カメラでいえばフィルムにあたります。この網膜に血流障害が起こると、視力が低下したり、失明することがあります。
糖尿病網膜症の原因
高血糖の状態が長く続くと、体内の細い血管が徐々に傷つきます。特に目の網膜は細かい血管が密集しているため、糖尿病の影響を受けやすいのです。具体的な原因は以下の通りです。
- 慢性的な高血糖
- 高血圧や脂質異常症などの合併症
- 糖尿病の罹病期間が長いこと
- 喫煙や運動不足
糖尿病網膜症の3つの進行段階
- 単純網膜症:小さな出血や毛細血管瘤が見られますが、自覚症状はほとんどありません。
- 前増殖網膜症:血管が閉塞し、網膜に酸素が届きにくくなります。視力低下が始まる場合もあります。
- 増殖網膜症:新生血管が形成され、破れやすくなり、大きな出血や網膜剥離を起こすことがあります。失明のリスクが最も高い段階です。
主な症状
初期の段階ではほとんど自覚症状がありませんが、進行すると以下のような症状が現れます。
- かすみ目
- 視力の低下
- 視野の一部が欠ける
- 飛蚊症(視界に虫のような影が見える)
- 突然の視力喪失(硝子体出血などによる)
診断方法
糖尿病網膜症は眼科での検査によって診断されます。主な検査方法は以下の通りです。
- 眼底検査(散瞳して網膜の状態を観察)
- 光干渉断層計(OCT)による網膜の断面画像
- 蛍光眼底造影検査
治療法
進行度や症状に応じて、以下のような治療が行われます。
血糖・血圧・脂質のコントロール
網膜症の進行を防ぐ最も基本的な治療です。内科での血糖管理が重要となります。
レーザー光凝固治療
新生血管の発生を防ぐためにレーザーで網膜の一部を焼く治療です。視力を温存する効果が期待できます。
硝子体手術
出血や網膜剥離がある場合に行う外科手術です。進行した糖尿病網膜症で視力を回復させる目的で行います。
抗VEGF薬の硝子体内注射
新生血管の増殖を抑える薬剤を目に直接注射する方法で、近年急速に普及しています。
糖尿病網膜症の予防法
糖尿病網膜症は早期発見・早期治療が非常に重要です。以下の予防策を日常生活で心がけましょう。
- 定期的な眼科検診(年に1回以上)
- 血糖値・血圧・脂質の適正管理
- 禁煙
- バランスの良い食事
- 適度な運動
- ストレスの軽減
糖尿病と目の健康は密接に関係しています
糖尿病は「サイレントキラー」とも呼ばれ、目に見えないところで静かに合併症が進行します。網膜症もその一つであり、気づいたときには視力が大きく低下していることも少なくありません。血糖管理だけでなく、目の健康にも意識を向けることが大切です。
まとめ
糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症の一つであり、進行すると失明のリスクもある重大な疾患です。初期には症状がほとんどないため、定期的な眼科検診と血糖コントロールが鍵を握ります。生活習慣の改善や医療機関との連携を大切にし、目の健康を守っていきましょう。
参考文献・引用
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2023」
- 日本眼科学会「糖尿病網膜症の診断と治療」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病網膜症」
- 国立国際医療研究センター病院 糖尿病情報センター
- American Diabetes Association. “Diabetic Retinopathy.”

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