高血圧は、日本人の約3人に1人が抱える身近な生活習慣病です。近年、コーヒーなどに含まれるポリフェノール「クロロゲン酸」が高血圧対策に役立つ可能性があるとして注目されています。本記事では、クロロゲン酸の働きや高血圧に対する効果、研究データ、サプリメント・食品選びのポイントまでをわかりやすく解説します。
クロロゲン酸は高血圧に効果がある?最新研究と健康食品の選び方を解説
クロロゲン酸とは?
クロロゲン酸(Chlorogenic acid)は、ポリフェノールの一種で、主にコーヒー豆やじゃがいも、リンゴ、ナスなどの植物に多く含まれています。特に、焙煎前の生豆(グリーンコーヒー)に豊富に含まれており、抗酸化作用や血糖値上昇抑制作用などの健康効果が期待されています。
高血圧とは?
高血圧は、血管にかかる圧力が慢性的に高い状態であり、心臓病や脳卒中などの重大な病気を引き起こすリスク因子です。日本高血圧学会では、診察室血圧で140/90mmHg以上を高血圧と定義しています。食生活の改善や運動、適切な薬物療法が基本ですが、近年では機能性成分を利用した予防法にも関心が高まっています。
クロロゲン酸と高血圧に関する研究
クロロゲン酸が高血圧に与える影響については、複数の研究が行われています。
動物実験による報告
ラットを用いた研究では、クロロゲン酸の投与により収縮期血圧と拡張期血圧の両方が有意に低下したとの報告があります。これは、血管拡張作用や抗酸化作用が関与していると考えられています。
ヒト試験によるエビデンス
2006年に発表された日本人成人を対象とした臨床試験では、クロロゲン酸を含むコーヒーを12週間摂取した群で、収縮期血圧および拡張期血圧の有意な低下が認められました。特に、軽度高血圧の方に対して効果が強く現れたと報告されています。
作用メカニズム
- 血管拡張作用:クロロゲン酸は、一酸化窒素(NO)の産生を促進し、血管平滑筋の弛緩を促すことで血圧を下げると考えられています。
- アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害:一部の研究では、クロロゲン酸がACEの活性を抑制する作用があると報告されています。
- 抗酸化作用:血管内皮細胞の酸化ストレスを軽減し、血管の柔軟性を保つことで血圧上昇を抑制する効果が示唆されています。
どんな食品に含まれる?
クロロゲン酸は以下の食品に豊富に含まれています。
- コーヒー(特に浅煎り)
- グリーンコーヒー豆抽出物
- ナス、じゃがいも、りんごなどの野菜や果物
ただし、コーヒーの焙煎度合いによってクロロゲン酸の含有量は大きく変わります。深煎りになるほど減少するため、健康目的で摂取する場合は浅煎りやグリーンコーヒーがおすすめです。
クロロゲン酸サプリメントの活用
食事だけで十分なクロロゲン酸を摂取するのが難しい場合、サプリメントや健康食品を活用するのも一つの方法です。ただし、購入の際には以下の点に注意しましょう。
- クロロゲン酸の含有量が明記されているか
- 機能性表示食品かどうか
- 過剰摂取に注意(1日200~400mgが目安)
クロロゲン酸摂取の注意点
クロロゲン酸は基本的に安全性が高いとされていますが、以下の点に注意が必要です。
- コーヒー由来の場合、カフェインの過剰摂取に注意
- 鉄の吸収を阻害する可能性があるため、貧血傾向のある人はタイミングに注意
- 薬を服用中の方は、医師・薬剤師に相談を
まとめ
クロロゲン酸は、ポリフェノールの一種として抗酸化作用を持ち、高血圧に対する有益な作用が期待されています。コーヒーやグリーンコーヒーに多く含まれており、適切な摂取を続けることで、血圧のコントロールに役立つ可能性があります。ただし、過剰摂取や体質による影響も考慮し、食品やサプリメントを選ぶ際は成分表示や信頼性の高い製品を選ぶことが重要です。高血圧が気になる方は、生活習慣の改善と併せてクロロゲン酸の活用も検討してみてはいかがでしょうか。
参考文献・引用
- Watanabe T, et al. “Coffee abundant in chlorogenic acid reduces blood pressure in mildly hypertensive subjects.” Hypertension Research. 2006;29(10):703–707.
- National Institutes of Health (NIH) – Chlorogenic acid
- 日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2022』
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」

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