腹部大動脈瘤とは

腹部大動脈瘤（AAA）は、腹部の大動脈が異常に膨らむ状態を指します。この大動脈は心臓から全身へ血液を送る主要な血管であり、瘤が破裂すると致命的な出血を引き起こす可能性があります。

症状

多くの場合、腹部大動脈瘤は初期段階では無症状です。しかし、以下のような症状が現れることがあります:

• 腹部の拍動性腫瘤: 腹部の中央もしくは左側に、拍動するしこりを感じることがあります。
• 腰や背中の痛み: 腫瘤が大きくなることで、周囲の組織や神経を圧迫し、痛みを引き起こすことがあります。
• 突然の激痛: 瘤が破裂する際には、突然の激しい腹痛、背中の痛み、吐き気や急激な血圧低下が起こり、緊急の医療介入が必要です。

原因

腹部大動脈瘤の主な原因は以下の通りです:

• 動脈硬化
• 高血圧
• 喫煙
• 遺伝的要因
• 感染症
• 外傷

特に動脈硬化と喫煙は重要なリスク因子ですので、生活習慣の改善が予防には重要です。

診断方法

腹部大動脈瘤の診断は、以下の方法で行われます:

• 腹部超音波検査: 無侵襲的かつ簡便な検査で、瘤の存在を確認できます。
• CT（コンピュータ断層撮影）: 精密な画像を提供し、瘤の大きさや位置を詳細に把握できます。
• MRI（磁気共鳴画像法）: 放射線を使用せずに詳細な画像を提供します。特に造影剤アレルギーがある患者には有用です。

医師は必要に応じてこれらの検査を組み合わせて使用し、適切な診断を行います。

治療方法

腹部大動脈瘤の治療は瘤の大きさや患者の全体的な健康状態に依存します。主な治療法には以下が含まれます:

• 経過観察: 比較的小さな瘤の場合、定期的な検査を行いながら経過を観察します。
• 薬物療法: 高血圧や高コレステロール血症などのリスク因子を管理するための薬物が使用されることがあります。
• 外科的手術: 大動脈瘤の破裂リスクが高い場合には、以下のいずれかの手術が検討されます:
  • 開腹手術: お腹を開いて瘤を人工血管で置き換える方法です。
  • エンドバスキュラー手術: カテーテルを使用して人工血管を瘤の部分に挿入し、膨らませることで瘤を覆います。侵襲が少なく、回復が早いとされています。

予防策

腹部大動脈瘤の予防には生活習慣の改善が重要です。以下のような対策が効果的です:

• 禁煙: 喫煙は動脈硬化や大動脈瘤のリスクを高めます。禁煙することでリスクを大幅に減少させることができます。
• 血圧管理: 高血圧は大動脈瘤の形成と進行に寄与します。定期的な血圧測定と適切な管理が重要です。
• 健康的な食事: 野菜や果物、全粒穀物を多く含むバランスの取れた食事は、心血管の健康に寄与します。
• 定期的な運動: 適度な運動は血圧を下げ、心血管の健康を維持するのに役立ちます。
• 定期検診: 特に家族歴がある場合やリスク因子を持つ場合は、定期的な医師の診察を受けることが推奨されます。

まとめ