花粉症の季節になると、鼻水・くしゃみ・目のかゆみといった不快な症状で日常生活がつらくなる方が多いのではないでしょうか。近年、緑茶に含まれる「メチル化カテキン(O-methylated catechin)」が、アレルギー症状を緩和する可能性がある成分として注目されています。本記事では、メチル化カテキンの働き、安全性、摂取量の目安などについて、信頼できる一次情報に基づき徹底解説します。
メチル化カテキンは花粉症対策に役立つ?エビデンスに基づく効果と摂取ポイントを徹底解説
メチル化カテキンとは?
メチル化カテキン(O-methylated catechin)は、緑茶に含まれるポリフェノール成分「カテキン」の一種です。 特に「エピガロカテキンガレート(EGCG)」の一部がメチル化された化合物で、「EGCG3”Me」などが代表的です。 静岡県産の特定品種の茶葉に多く含まれ、アレルギー症状を緩和する可能性があるとして研究が進んでいます。
メチル化カテキンが花粉症に注目される理由
花粉症は、スギ花粉やヒノキ花粉に対する免疫反応が過剰になることで起こるアレルギー性疾患です。 メチル化カテキンは、この免疫反応の一部に作用する可能性が報告されており、以下の働きが注目されています。
① IgE抗体の産生を抑制する可能性
花粉症の発症には、アレルギー反応を引き起こすIgE抗体が深く関与しています。 静岡県立大学の研究では、メチル化カテキンがIgEの産生を抑制する可能性が示されました(Fujimura et al., 2007)。
② ヒスタミン放出抑制作用の可能性
花粉症の代表的な症状である「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」は、マスト細胞から放出されるヒスタミンによって引き起こされます。 メチル化カテキンは、マスト細胞からのヒスタミン放出を抑制する作用が報告されています。
③ 炎症性サイトカインの抑制
Th2サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13)と呼ばれる免疫物質がアレルギー反応を悪化させます。 メチル化カテキンはこれらのサイトカインの発現を抑制する可能性があります。
ヒト臨床研究で示された花粉症への効果
いくつかの臨床試験で、メチル化カテキンの摂取により花粉症症状が緩和されたという報告があります。
● 臨床試験①:症状スコアの改善
静岡県立大学などの研究グループは、スギ花粉症患者35名を対象にした試験で、メチル化カテキンを含む緑茶を摂取した群で、 「鼻のかゆみ」「鼻水」「目のかゆみ」などの症状スコアが有意に改善したと報告しました(Suzuki et al., 2009)。
● 臨床試験②:QOL(生活の質)の改善
別の研究では、メチル化カテキンを含む茶葉抽出物を8週間摂取した群で、花粉症による生活の不便さが改善したと報告されています。
メチル化カテキンの安全性について
緑茶由来成分であるため、通常の食事量での摂取は安全とされています。 ヒト試験でも大きな副作用は報告されていません。 ただし、以下の点には注意が必要です。
- サプリメントでの過剰摂取は避けること
- カフェインを含むため、妊娠中・授乳中の大量摂取は注意
- 持病がある場合は医師に相談すること
メチル化カテキンが多い食品と摂取量の目安
メチル化カテキンは一般的なお茶には多く含まれていませんが、特定品種の緑茶(べにふうき茶)に豊富です。
● メチル化カテキンが多い茶葉
- べにふうき(Benifuuki)緑茶
抽出量には差がありますが、臨床研究では1日34 mgのメチル化カテキン摂取で効果が報告されています。
● 推奨される摂取方法
- べにふうき緑茶を1日2〜3杯飲む
- 花粉症シーズンの1か月前から継続する
花粉症改善のための生活習慣と併用するとより効果的
メチル化カテキンは花粉症対策の一助にはなりますが、単独で症状を完全に抑えられるわけではありません。 以下の生活習慣と併用することで、より効果が期待できます。
- 外出時のマスク・眼鏡の着用
- 帰宅後の洗顔・うがい
- 部屋の換気や空気清浄機の利用
- 睡眠不足を避ける
まとめ
メチル化カテキンは、IgE抗体やヒスタミン放出を抑制するなど、花粉症症状の緩和に役立つ可能性が示されています。 特にべにふうき茶に豊富に含まれており、継続的に飲むことで生活の質向上が期待できます。 ただし、医薬品ではないため、症状が強い方は医療機関への相談が必要です。
参考文献
Fujimura Y, et al. O-methylated EGCG reduced allergic symptoms. Biochem Biophys Res Commun. 2007.
Suzuki T, et al. Benifuuki tea containing O-methylated catechin reduces symptoms of Japanese cedar pollinosis. Allergol Int. 2009.
日本アレルギー学会「アレルギー疾患ガイドライン」
国立環境研究所 花粉観測データ

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