コラーゲンペプチドは、肌や関節だけでなく「骨の健康」をサポートする素材として注目されています。骨はカルシウムだけでできているわけではなく、その約50%が「有機質」、特にコラーゲンで構成されています。では、コラーゲンペプチドの摂取は骨密度の維持にどのように関わるのでしょうか。本記事では、臨床研究の結果をもとにコラーゲンペプチドと骨の関係について詳しく解説します。
コラーゲンペプチドは骨の健康に役立つ?骨密度との関係をエビデンスから徹底解説
骨とコラーゲンの関係
骨は「無機質(カルシウムやリンなど)」と「有機質(コラーゲンなど)」で構成されています。骨全体の約30〜40%はコラーゲンなどの有機質で、骨のしなやかさと強度を保つために欠かせません。特にⅠ型コラーゲンは、骨基質の約90%を占める主要成分です。
コラーゲンペプチドとは
コラーゲンペプチドは、動物由来のコラーゲンを酵素分解して得られた短鎖ペプチドで、体内で吸収されやすい特徴があります。摂取後は「ヒドロキシプロリン含有ジペプチド(Pro-Hyp、Hyp-Gly)」として血中に移行し、骨芽細胞への働きが注目されています。
コラーゲンペプチドが骨に作用するメカニズム
コラーゲンペプチドは次のような作用が報告されています(動物・細胞レベルの研究)。
- 骨芽細胞の分化促進(骨形成を高める方向)
- 骨吸収を行う破骨細胞の形成抑制
- 骨に必要なコラーゲン合成の支援
これらはヒドロキシプロリン含有ペプチドによる細胞への直接作用が示唆されています(Kobayashi N et al., J Agric Food Chem. 2012)。
臨床研究におけるコラーゲンペプチドと骨密度
コラーゲンペプチドを摂取したヒト臨床試験では、骨代謝マーカーや骨密度に関する以下の結果が報告されています。
閉経後女性を対象とした臨床試験
・Königら(2018)のランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、閉経後女性131名にコラーゲンペプチド5g/日を12か月摂取させた結果、大腿骨頸部および腰椎の骨密度がプラセボ群と比較して有意に改善しました(König D et al., Nutrients. 2018)。
・骨形成マーカー「P1NP」が有意に上昇し、骨吸収マーカー「CTX」が低下するなど、骨代謝改善作用が確認されています。
カルシウムとの相乗効果
コラーゲンペプチドとカルシウムを併用した研究では、単独摂取よりも骨密度維持に有利とする報告もあります。これは骨の構造にカルシウムとコラーゲンが共に重要であるためと考えられます。
摂取量と食品安全性
コラーゲンペプチドは一般的に1日2.5〜10gが研究で使用されることが多く、安全性は高いとされています。
EFSA(欧州食品安全機関)でも通常摂取レベルでの安全性が確認されています。
どんな食品・サプリに含まれている?
・コラーゲンドリンク
・粉末コラーゲンサプリメント
・ゼラチン(熱変性コラーゲン)
・コラーゲン入りプロテイン
食品中のコラーゲンはペプチド化されていない場合もありますが、消化過程でペプチドになるため一定の吸収が期待できます。
期待できる効果と課題
コラーゲンペプチドには骨密度改善に関する有望なデータがありますが、次のような課題もあります。
- 研究の多くは閉経後女性を対象としており、若年層でのエビデンスが少ない
- 長期的な骨折リスク低減については十分なデータが存在しない
したがって、骨密度改善効果は一定の科学的根拠がある一方、骨折予防に関する決定的な証拠はまだ不十分であることが明確です。
生活習慣と併用することが重要
骨の健康には、コラーゲンペプチドの摂取だけではなく、以下も重要です。
- ビタミンDの十分な摂取(日光浴・食品)
- カルシウム摂取(乳製品、小魚、青菜など)
- 適度な運動(特に荷重運動)
複合的に取り組むことで、より高い骨健康の維持が期待できます。
まとめ
コラーゲンペプチドは骨基質の主要成分であるコラーゲンを補い、骨形成を促す働きが示されています。臨床試験では閉経後女性の骨密度改善に有意な効果が報告されており、骨代謝マーカーの改善も確認されています。骨を強く保ちたい方にとって、日常の栄養対策として取り入れやすい素材といえます。
参考文献
König D, et al. “Specific Collagen Peptides Improve Bone Mineral Density and Bone Markers in Postmenopausal Women.” Nutrients. 2018.
Kobayashi N, et al. “Hydroxyproline-containing peptides stimulate differentiation of osteoblastic cells.” J Agric Food Chem. 2012.
EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies. “Scientific Opinion on the safety of collagen hydrolysate.” (EFSA Journal).
Bonjour JP. “Nutritional aspects of bone health.” Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2013.

健康は資産、幸せは健康から!!


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