エラグ酸と冷え性の関係を科学的根拠で解説|血流への作用と臨床研究まとめ

健康

冷え性は、血流低下や自律神経の乱れによって末梢の温度が下がることで起こるとされています。果実ポリフェノールの一種である エラグ酸(Ellagic acid) は抗酸化作用や血管機能への影響が報告されており、循環改善に関する研究も増えています。

ただし、「エラグ酸が冷え性そのものを改善する」という直接的エビデンスは現時点で確認されていません。そこで本記事では、エラグ酸が持つ 血管内皮機能の改善・抗炎症作用・NO産生サポート といった科学的根拠をもとに、冷え性と関係する可能性を明確に解説します。

エラグ酸と冷え性の関係を科学的根拠で解説|血流への作用と臨床研究まとめ

エラグ酸とは

エラグ酸(Ellagic acid)は、ザクロ、イチゴ、ラズベリー、クルミなどに含まれるポリフェノールの一種です。 強い抗酸化作用を持ち、食品として古くから摂取されてきました。

エラグ酸は体内で腸内細菌により「ウロリチン類」へ変換され、 これらが血管・筋肉・炎症に関わる生理作用を示すことが報告されています。

冷え性の主な原因

日本産科婦人科学会は冷え性を「末梢血流の低下により皮膚温が下がる状態」と説明しています。 冷え性を引き起こす主な要因は次のとおりです。

  • 末梢血管の収縮
  • 自律神経の乱れ
  • ストレスや不眠
  • 筋肉量不足による血流低下
  • 低血圧傾向

エラグ酸が注目される理由

エラグ酸には強い抗酸化作用と血管内皮保護作用があり、 血流の改善に関係する可能性が複数の試験で示されています。

・強力な抗酸化作用

酸化ストレスは血管の柔軟性低下に関係し、末梢の血流を低下させます。 エラグ酸はポリフェノールの中でも高い抗酸化活性を示します(Priyadarsini 2010)。

・血管内皮機能の改善の可能性

エラグ酸を含むザクロエキスの摂取により、血管内皮機能(FMD)が改善したという報告があります(Asgary 2016)。

FMDの改善は、手足の循環にも関係する重要な指標です。

・炎症マーカーの低下

慢性的な末梢の冷えは、血管炎症の影響を受ける場合があります。 ザクロポリフェノールの摂取により炎症マーカー(hs-CRP)が低下したとする臨床研究があります(Estrada-Luna 2021)。

エラグ酸と冷え性:現時点の科学的評価

現状、「エラグ酸が冷え性を改善した」と直接示した臨床研究は存在しません。

しかし、冷え性に関与する以下の因子に対し、科学的作用が示されています。

  • 血管内皮機能の改善
  • NO産生のサポート
  • 抗酸化作用による血管保護
  • 炎症抑制

これらは間接的に末梢血流改善へつながる可能性があります。

臨床研究から見る摂取量

エラグ酸またはザクロ抽出物を用いた臨床試験では以下が用いられています。

  • 200–500 mg/日(ザクロポリフェノール換算)
  • エラグ酸として40 mg前後/日

冷え性への推奨量は確立されていません。

エラグ酸の安全性

エラグ酸は果物由来で、食品として高い安全性が確認されています。 ザクロ抽出物は人での副作用報告が少なく、 国際毒性レビューでも安全性が高いと評価されています(EFSA 2010)。

冷え性の改善に必要な生活習慣

エラグ酸を利用する場合も、以下の生活習慣と併用することで効果が高まります。

  • 軽い運動で筋肉量と血流を増やす
  • ぬるめの入浴で末梢温度を上げる
  • 睡眠の質を整える
  • 身体を冷やさない食事・衣類選び

エラグ酸は冷え性の「間接的なサポート成分」

エラグ酸は抗酸化作用、血管内皮機能改善、炎症抑制といった働きが報告されていますが、 冷え性そのものを改善した臨床研究は現時点で存在しません。

そのため、エラグ酸は冷え性の「直接的な改善成分」ではなく、 血管機能の面からサポートする「間接的な補助成分」といえます。

まとめ

  • エラグ酸は果物に含まれるポリフェノールで強い抗酸化作用をもつ

  • 血管内皮機能の改善、炎症マーカー低下などが臨床試験で報告

  • 冷え性改善を示した直接的エビデンスは 現時点で存在しない

  • 血流を整える作用から「冷え性の間接的サポート成分」と考えられる

  • 生活習慣と併用することが重要

参考文献(査読論文・公的機関)

  1. Priyadarsini KI. Antioxidant properties of ellagic acid. J Agric Food Chem. 2010.

  2. Asgary S, et al. Effect of pomegranate extract on endothelial function. Phytother Res. 2016.

  3. Estrada-Luna D, et al. Pomegranate supplementation reduces inflammation markers. J Med Food. 2021.

  4. EFSA. Scientific Opinion on Pomegranate extract. EFSA Journal. 2010.

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