リバースモーゲージを活用する前に知るべき!活用法と相続時の注意点

ファイナンス

自宅を担保にして「住み続けながら」資金を借りることができるリバースモーゲージ。老後資金や住宅ローンの借り換え、相続対策など多彩な活用法があります。一方で、契約の選び方や相続時の影響を誤ると、家族に想定外の負担を残してしまう可能性も。この記事では、2025年時点におけるリバースモーゲージの仕組み、メリット・デメリット、相続時の具体的な注意点をファイナンシャルプランナーの視点でわかりやすく解説します。

リバースモーゲージを活用する前に知るべき!活用法と相続時の注意点

1. リバースモーゲージとは何か?仕組みを理解する

リバースモーゲージとは、住宅ローンのように毎月元金を返済しながら住む方式とは異なり、主に「自宅を担保に資金を借り、契約者が亡くなったり契約期間が終了したときに自宅を売却して返済」という仕組みを持つ金融商品です。

通常、使い方としては「老後の生活資金」「住宅ローンの返済軽減」「医療・介護などまとまった支出のため」などが挙げられます。利息のみの支払い、もしくは利息負担もゼロで元本が契約終了時にまとめて返済されるタイプなどがあります。

ただし、担保物件の評価が下がったり、金利が上昇したり、長生きしたことで返済期間が延びたりすると、リスクが顕在化するため、契約する前にメリット・デメリットをしっかり把握しておくことが重要です。

2. リバースモーゲージの主な活用法

2-1 老後資金の確保

年金収入だけでは不足を感じる高齢者にとって、自宅の資産を活用して“住み続けながら”現金を得られる点が魅力です。リバースモーゲージを使えば、預貯金を崩さずに資金を確保できます。

2-2 住宅ローン借り換え・月々返済軽減

例えば、定年後も住宅ローン返済が残っている場合、リバースモーゲージ型住宅ローンへの切り替えにより毎月の返済額を利息のみ、あるいは非常に低額に抑える設計が可能です。

2-3 相続・生前贈与を意識した資産活用

自宅を将来相続させたい、または相続税対策として資金を先に確保したいという場合にも活用されています。自宅が“動かない資産”である場合、リバースモーゲージで現金化し、その一部を生前贈与などに回すことで、相続時の生前資金の流れを作るという手法もあります。

3. リバースモーゲージを使うときのメリット・デメリット

3-1 メリット

  • 自宅に住み続けながらまとまった資金を調達できる
  • 毎月の返済負担が軽く、月額負担を抑えやすい
  • 住宅資産を活用することで、貯蓄を崩さずに生活が可能

3-2 デメリット・注意点

  • 不動産価値の下落により、借入限度額が想定より低くなる場合あり
  • 契約後に金利が上昇すると利息負担が増えるリスクあり
  • 元本返済が契約者死亡時もしくは契約終了時であるため、長生きすれば返済時期が後ろにずれ、負担が増加する可能性あり

4. 相続時に注意すべきポイント

4-1 契約形態(リコース型/ノンリコース型)を確認

リバースモーゲージには、契約後に担保売却で返済ができず差額が残る場合、相続人に返済義務が残る「リコース型」と、売却額が借入額を下回っても相続人が差額を負担しない「ノンリコース型」があります。

4-2 相続人への事前説明と同意

利用者の死亡後に自宅売却となるケースもあるため、相続人(子ども・配偶者)への説明・同意を契約時に得ておくことがトラブル防止になります。一定の金融機関では、契約時に推定相続人の同意を義務付けている例もあります。

4-3 自宅が相続財産として残らない可能性

契約者死亡後に担保不動産を売却して返済されるケースが一般的であるため、自宅を相続財産として残したい場合にはその点を考慮する必要があります。

4-4 売却時点の資産評価と相続税の影響

自宅の売却により借入金が返済されるため、相続税評価額・債務控除の扱い・遺産分割時の扱いなど、相続税対策の観点からも事前に確認しておきましょう。

5. 利用を検討するときの実務ステップ

  1. 自宅の担保評価額を把握する(物件の立地・築年数・将来性)
  2. 借入限度額・金利・返済条件(利息のみ・契約終了時返済など)を確認
  3. 契約形態(リコース/ノンリコース)を理解し、相続人負担の有無を確認
  4. 相続人への説明・同意を得る。遺言書や家族会議も検討
  5. 老後資金や住宅ローン、リフォーム、医療・介護費用といった用途を明確にし、他の資金調達手段とも比較検討
  6. 契約後も定期的に住まい・資産価値・返済計画を見直す

まとめ

  • リバースモーゲージは「自宅を担保に住み続けながら資金を調達」できる強みがあります。

  • 老後資金確保・住宅ローン軽減・相続対策など活用法は多岐にわたります。

  • ただし、契約条件・不動産価値の変動・金利上昇・相続人負担などデメリット・注意点も多く存在します。

  • 特に相続時には、契約形態(リコース型/ノンリコース型)・相続人の同意・自宅を相続財産として残すかどうか・相続税や遺産分割上の影響を慎重に確認することが重要です。

  • 利用検討時には、専門家(FP・税理士・司法書士)と相談のうえ、契約前に全体のライフプラン・家族構成・資産状況を整理しておくことをおすすめします。

参考文献・引用元

  1. 「リバースモーゲージを利用すると相続人に迷惑がかかる?相続人に迷惑をかけないために知っておくべきこと」ファンデックス。

  2. 三井住友銀行「リバースモーゲージ型住宅ローン」公式サイト。

  3. 「老後資金の確保に活用するリバースモーゲージ」相続マド。

  4. 「リバースモーゲージのデメリットとは?制度の仕組みとメリットも」千葉興銀コラム。

  5. 信託協会「リバース・モーゲージの法的課題と信託の利用」PDF。

 

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