安定した給与を得るサラリーマンにとって、「保険は保障だけではなく貯蓄にもなる」と聞くと魅力的に感じられるかもしれません。実際、貯蓄型保険(例えば終身保険・養老保険・個人年金保険など)は「保障+積立」という2つの機能を兼ね備えており、将来に向けた長期的なお金の備えとして検討対象になります。
ただし、保険料が割高になりがち、契約満期・解約時期によっては元本割れのリスクもあるため、サラリーマンとして何を重視すべきか、どんなポイントで商品を選べばいいかを理解しておくことが重要です。
本記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)の視点から「サラリーマンが貯蓄型保険を選ぶ際に押さえるべきポイント」「メリット・デメリット」「活用すべき条件・避けるべきケース」「具体的な選び方」までをわかりやすく解説します。
サラリーマン向け貯蓄型保険の選び方と活用法|メリット・デメリットをFPが徹底解説
1. 貯蓄型保険とは?サラリーマンにとっての意義
「貯蓄型保険」とは、保険料の一部が積立または貯蓄に回される仕組みを持つ保険商品のことを指します。具体的には、満期保険金・解約返戻金など、契約期間満了または解約時に「戻り」を得られる可能性があります。
サラリーマンにとって、毎月の給与から貯蓄に回すのが難しいという実感があるケースも多く、保険料として「天引きで貯まる」仕組みは心理的・実務的にメリットがあります。さらに、保険としての保障機能も備えていれば、万一の時のリスクにも備えられます。
ただし、「貯蓄=高リターン」というわけではなく、保障&積立の二機能分保険料が割高になりやすいため、家計・ライフプランと整合させて使うことが重要です。
2. サラリーマンが貯蓄型保険を活用するメリット
以下は、サラリーマンが貯蓄型保険を検討する際に得られやすいメリットです。
- 自動的に貯まる仕組みになる 保険料として毎月支払うことで、別に貯金口座を設けなくとも「積立型」の貯蓄が進みやすい点が大きな魅力です。
- 保障機能を併せ持つ 死亡保障・高度障害保障など保険としての機能を兼ねており、「貯金だけ」では備えられないリスクに対応できます。
- 税制優遇や相続対策として使える商品もある 例えば、終身保険は相続税の非課税枠として利用されることもあり、会社員の方でも将来設計上メリットを持ち得ます。
- 貯蓄・保障を一本化できる 日常的に「保険料」として支払うだけで貯蓄も保障もカバーする設計が可能で、管理がシンプルになります。
3. 注意すべきデメリット・サラリーマン特有の視点
しかし、以下のような注意点もあります。サラリーマンが特に見落としやすい点も含めて整理します。
- 保険料が比較的高額になりやすい 同じ保障内容であれば、掛け捨て型と比べて保険料が高めです。
- 早期解約だと元本割れの可能性 契約期間中に解約したり、満期まで保ちにくかったりすると、解約返戻金が払込保険料を下回るケースがあります。特にサラリーマンで転職・働き方の変化がある方は注意が必要です。
- 流動性が低い 貯金のように自由に引き出せるわけではなく、解約・満期というタイミングが前提となります。緊急時の資金が必要な場合の設計も必要です.
- インフレリスク・運用利回りが低め 受取時点での物価上昇や運用成果が想定通りでないと、実質的な価値が目減りする可能性があります。
- サラリーマンのライフプラン変化に対応しづらい 転勤・退職・働き方変化など、サラリーマン特有のライフイベントにより保険を見直すタイミングが来ることもあり、その際の柔軟性が掛け捨て型より劣ることがあります。
4. サラリーマンが貯蓄型保険を選ぶときのポイント
サラリーマンとして保険を検討するなら、以下のポイントを押さえておきましょう。
4.1 保険料負担が無理のない範囲か
毎月の保険料が家計を圧迫しないか、給与が増減・働き方が変化しても支払い続けられるかをチェックします。特に扶養・配偶者の収入、育児・住宅ローンなどライフステージ変化を見据えておくことが重要です。
4.2 解約返戻金・返戻率の確認
保険会社の契約概要書で「いつ解約すると返戻率がどうなるか」「払込満了時・満期時の返戻金の目安」を確認しましょう。返戻率が上がるまでに何年かかるか知ることが重要です。
4.3 保障内容の適正化
保険本来の目的である「保障」が適切かどうかをチェック。家族構成・収入・貯蓄状況を踏まえ、「どれくらいの死亡保障・高度障害保障が必要か」をまず設計し、そのうえで積立部分を検討しましょう。
4.4 他の運用・貯蓄手段と比較する
貯蓄型保険だけに頼らず、例えば「積立型投資信託」「iDeCo・NISA」「普通預金・定期預金」などと比較し、リスク・リターン・流動性を検討することがFP的に望ましいです。
4.5 加入タイミングと将来増える保険料を意識
若いうちに加入すると月々の保険料が抑えられる傾向がありますが、給与が上がると保険料も増える可能性がある商品もあるため、将来の収入変化と支払い可能額を見通して計画しましょう。
5. サラリーマン向け活用シナリオとケーススタディ
実際にサラリーマンが貯蓄型保険を活用したケースを通して、活用イメージを持ちましょう。
5.1 若手サラリーマン(30代・子ども無し)ケース
月収30万円/年収約450万円の会社員Aさん。加入目的は「将来住宅購入に備えた積立+保障」。毎月1万円の貯蓄型終身保険に加入し、20年後に返戻率120%を見込んで設計。他の投資に比べ「安心感」「引き出しの手間がない」点を評価。 ただし、転勤・転職で収入減少・支払困難にならないよう、毎月の保険料は手取りの5%以内に収める設計をFPが助言しています。
5.2 ミドルサラリーマン(40代・子ども2人)ケース
年収600万円/子ども2人の会社員Bさん。教育費ピークが15年後。目的は「子ども・老後のダブル備え」。養老保険+学資特約付き商品を選択。保障額を家族構成変化に応じて見直し、支払い期間を子どもが大学進学時までと限定。FPは「貯蓄型保険にすべきか、掛け捨て+別貯蓄を組み合わせるべきか」をシミュレーションして提案しました。
5.3 注意すべき流動性低下・運用代替ケース
年収500万円の会社員Cさんは、変動勤務・副業を予定しており流動性を重視。貯蓄型保険ではなく、つみたてNISA+掛け捨て保険という組み合わせを選びました。「保障だけ貯蓄だけを保険で一本化せず、分けて設計したほうが柔軟性が高い」とFPがアドバイスしています。
6. FP視点でのチェックリスト
サラリーマンが貯蓄型保険を活用する際、以下のチェックリストを使って自分の設計内容を整理しましょう。
- 毎月の保険料が家計の5〜10%以内か?
- 契約満期・解約返戻金の時期と額を理解しているか?
- 保障内容(死亡・高度障害・保障期間)がライフプランに見合っているか?
- 契約後に働き方・収入・家族構成の変化があった場合の対応策を持っているか?
- 貯蓄型保険以外の運用・保険手段と比較検討しているか?
- インフレ・金利変動など制度・運用環境の変化を意識しているか?
まとめ
サラリーマンが貯蓄型保険を活用することには、「安心感」「保障+貯蓄」という魅力がありますが、必ずしも最適解ではありません。保険料が高めであったり、流動性や運用性に制限があるため、以下の点を意識することが重要です:
毎月の保険料が家計に負担とならない範囲か
返戻金・返戻率・保障内容を契約前によく把握しておく
他の貯蓄・投資手段(つみたてNISA、iDeCo、普通貯金)との比較を行う
ライフプラン・働き方・収入の変化を見据えて、流動性と柔軟性を確保する
長期で継続できるかどうかを前提に、契約満期・解約返戻金時期を設計する
サラリーマンとして保険を検討する際は、まず保障設計を明確にし、そのうえで「貯める保険」として貯蓄型を使うかどうかを判断すると安全です。無理なく続けられ、将来のリスクにも備えられる設計を心掛けましょう。
参考文献・引用元
明治安田生命「貯蓄型保険とは?メリット・デメリットや掛け捨て型との違い」 ― 明治安田生命ウェブサイト。
生命保険メディア「貯蓄型の生命保険とは?種類や保障内容など解説」 ― Nanairo Life。
第一生命メディア「貯蓄型生命保険とは?メリット・デメリット」 ― 第一生命ウェブサイト。
ナビナビ保険「貯蓄型保険とは?デメリットやおすすめな人、掛け捨て …」 ― ナビナビ保険記事。
保険マムス「貯蓄型保険の選び方と注意点を完全ガイド【最新版】」 ― 保険マムス記事。

今日が一番若い日
コメント