「グレープフルーツジュースは薬と一緒に飲んではいけない」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。実は、薬の効果に影響を与える可能性がある柑橘類は、グレープフルーツだけではありません。今回は、グレープフルーツ以外の柑橘類と薬の飲み合わせについて、注意すべき果物やその理由、具体的な薬の種類について詳しく解説します。
グレープフルーツだけじゃない!薬と注意が必要な柑橘類の飲み合わせとその理由を解説
薬とグレープフルーツの飲み合わせが問題になる理由
まず、なぜグレープフルーツが薬と相性が悪いのか、その仕組みを理解しておきましょう。グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン類」という成分が、肝臓や腸で薬を代謝する酵素「CYP3A4(シップスリーエーフォー)」の働きを阻害します。
この酵素が働かないと、薬が体内に長くとどまり、効きすぎたり副作用が出やすくなったりするのです。
グレープフルーツ以外にもある!注意が必要な柑橘類
実は、同じようにフラノクマリン類を含む柑橘類は他にも存在します。以下の果物も、薬との飲み合わせに注意が必要です。
1. ハッサク
ハッサクにもフラノクマリン類が含まれています。グレープフルーツほど濃度は高くないものの、薬との相互作用の可能性があります。
2. ダイダイ(ビターオレンジ、橙)
ビターオレンジはサプリメントやジュースなどにも使われることが多く、CYP3A4を阻害する作用が確認されています。
3. スウィーティー
スウィーティーはグレープフルーツとポメロの交配種で、フラノクマリン類を含むことがあります。
4. ブンタン(ザボン)
品種によってはフラノクマリン類を多く含むことがあるため、注意が必要です。
5. 金柑(キンカン)、みかん、レモン、オレンジなどは?
これらは基本的にフラノクマリン類の含有量が少ない、もしくはほとんど含まれていないため、通常は心配ありません。ただし、品種や加工方法によっては注意が必要なケースもあります。
薬との飲み合わせで注意が必要な薬の種類
次に、これらの柑橘類と一緒に摂取すると影響を受けやすい薬の種類を紹介します。
1. 高血圧や心臓の薬
- カルシウム拮抗薬(アムロジピン、ニフェジピンなど)
2. 脂質異常症治療薬
- スタチン系薬(アトルバスタチン、シンバスタチンなど)
3. 免疫抑制剤
- シクロスポリン、タクロリムス
4. 一部の抗アレルギー薬
- フェキソフェナジン(※有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)を介した相互作用)
5. 一部の睡眠薬や抗不整脈薬
- トリアゾラム、アミオダロンなど
注意すべきポイントと対処法
薬を飲むときは果物の種類に注意
特にジュースや加工品の場合、どの柑橘類が使われているか不明なことも多いため、薬と一緒に飲むのは避けましょう。
食べる時間を空けても効果は持続することも
フラノクマリン類の作用は1日以上続く場合があり、時間をずらしても安全とは限りません。
自己判断せず医師・薬剤師に相談を
薬を服用している方は、柑橘類を食べる前に医師や薬剤師に相談するのが安全です。
安全に薬と果物を楽しむために
薬との相互作用が問題になるのは、すべての柑橘類ではありません。影響を受けにくい果物も多いため、正しい知識を持ち、適切に対応することが大切です。
まとめ
グレープフルーツだけでなく、ハッサク、ダイダイ、スウィーティー、ブンタンなどの柑橘類にも薬との飲み合わせに注意が必要なものがあります。特に高血圧や脂質異常症の薬、免疫抑制薬を服用している方は注意しましょう。自己判断せず、薬剤師や医師に相談し、安全に薬と果物を楽しむことが大切です。
参考文献・引用
- 厚生労働省「健康食品との相互作用」
- 国立医薬品食品衛生研究所「薬とグレープフルーツジュース」
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「薬と食品の相互作用」

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